オハナの石けん作り

作り方と材料の話

作り方

石けん作りに必要な材料は、油、水、苛性ソーダの3つです。
石けんになるために必要な苛性ソーダの分量は油の種類によって異なります。オハナの石けんは肌の事を一番に、次に使い心地、その次に使う楽しさを考えながら材料の配合をしています。ここでは牛乳パック一つ分のオハナ風マルセイユ石けんの作り方をご紹介します。

道具

  • 計り(1g単位で1kgまで計れるもの)
  • 苛性ソーダを溶かす容器500ml (熱に溶けないもの。ガラス製で注ぎ口のあるものがベスト。ポリ容器も可)
  • 苛性ソーダを溶かすマドラー(熱に溶けないもの。金属でなくガラスや陶器のものがベスト)
  • ボール(1リットル程を混ぜるのに十分な大きさのもの)
  • 湯煎用の大きめボール
  • 温度計2本(0℃〜100℃の液体を計れるもの)
  • 泡立て器(ステンレス製のしっかり混ぜられるものがグッド!)
  • 良く洗って乾かした牛乳パック(1lを1つ、または500mlを2つ)
  • 型入れ時にロートやゴムベラがあると便利
  • 熟成保存用の箱(クーラーボックスや発泡スチロールなど保温が効く箱があるとベスト)

材料

  • エキストラバージンオリーブオイル:458g(500mlボトル1本分です)
  • パームオイル:75g
  • ココナッツオイルまたはパームカーネルオイル:90g
  • 精製水:191g
  • 苛性ソーダ:79g(調剤薬局などで購入出来ますが、印鑑が必要です。)
  • 香りを付けたい場合はお好みのエッセンシャルオイル:約100滴

手順

※苛性ソーダはとても危険な劇薬ですので、ゴーグル、ゴム手袋、マスクを着用してお部屋の換気を良くし、十分に気をつけて扱ってください。

  1. 計った油を全てボールに入れ、湯煎して暖めます。
  2. 計った苛性ソーダはガラス瓶などの熱に強い容器に入れ、そこにゆっくり精製水を注ぎます。90℃前後まで温度が上がり、ツーンとした臭いが出ます。
  3. マドラーでゆっくりと混ぜて苛性ソーダを溶かします。透明になったら、容器ごと水で湯煎して冷ましていきます。
  4. ポイントです!油は暖め、苛性ソーダ溶液は冷まし、それぞれの温度を38度~42度の間で一定になるまで温度計をこまめにチェックしてください。
  5. 温度が一定になったら、油を混ぜながらそこに苛性ソーダ溶液をゆっくりと流し込みます。ゆっくり少しずつ注ぎ入れながら、満遍なく混ざるようにしてください。
  6. とにかく満遍なく混ぜ続けると、油がもったりと、泡だて器の筋が残るくらいになります。そうなればいよいよ型入れですが、ここまでの時間は使う油や温度、気温や湿度で変わってきます。とにかく最初の15分を、一生懸命混ぜてください。香りを付けたい時は、型入れの直前でエッセンシャルオイルを加えて更にしっかりと混ぜておきます。
  7. それでもまだ緩い状態でしたら、分離をしないように休み休み様子を見ながら続けてください。逆に固まりすぎて型入れが出来なくなってしまったら、もう少し待ってからお団子状に適度な大きさに丸めて熟成させて下さい。熟成態勢に入るまでは、混ぜる事をお忘れなく。
  8. 型に入った石けんのタネを、なるべく熱の逃げない状態にして1日〜1週間待つと、固まった状態になります。クーラーボックスや発砲スチロールの箱が理想的ですが、段ボール箱を二重にしたり、箱の上から毛布をかけたりして工夫も出来ます。約2ヶ月間熟成させて完成です。お好きなタイミングでカットして下さい。
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材料

ここではオハナの石けん作りに活用しているヒントを紹介したいと思います。
油にはそれぞれに特徴があり、これを理解することで自分にぴったりの油の配合を生み出す事ができます。例えば、不けん化物と言われる「石けん化せずに成分として残るもの」の効果やその分量、使い心地に欠かせない泡の質や、石けんの固さなども、配合する油によって変わってきます。

油の恵み

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写真2

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●オリーブオイル
酸化されにくいため持ちが良く皮膚への刺激性が低いオレイン酸をとても多く含む、手作り石けんには定番のオイルです。他にもスクワレンを始め、不鹸化物を多く含みます。泡立ちは控えめで溶け易い石けんになりますが、まろやかさとしっとり感を体感すると石けん作りの定番になるのも頷けます。オハナ石けんではエキストラバージン(1番絞り)とピュア(2番絞り)を石けんによって使い分けています。エキストラバージンの方が香りや色と共にオイルの持つ成分が多く残っており、石けんにもそれが残ります。ですので良い香りや綺麗な色を楽しみたい石けんにはピュアを使用したりしています。
●アボカドオイル
果肉から抽出され、化粧品業界でも良く使われます。 何と言っても不けん化物が多く、プロテイン、アミノ酸、そしてビタミンA・D・Eを多く含んでいます。
●太白ごま油
アボカドオイルやシアバターと同様に不けん化物を多く含みます。オリーブオイルやアボカドオイルよりさっぱり感がありつつも洗い上がりがしっとりとするバランス感が個人的にお気に入りです。
●グレープシードオイル
ぶどうの種子から取れるオイルでビタミンEやポリフェノールを含んでいます。さらりとしてアレルギー性が低いので、マッサージオイルやクリーム等にも使われています。
●マカデミアナッツオイル
不飽和物が豊富なとても贅沢なオイルの一つで、特に豊富なパルミトレイン酸には抗酸化作用や皮膚細胞の劣化防止に効果があるとの研究結果もあります。
●キャスターオイル
唐胡麻またはヒマと呼ばれる植物の種を絞ったオイルで、医療用や化粧用に使われてきました。豊富なリシノール酸による強い粘度が特徴で、持ちの良い泡を作ります。
●パームオイル
油ヤシの実から取れるオイル。石けんに固さを与え、溶け崩れを防ぎますが、肌への効果はそれほど期待できません。
●レッドパームオイル
精製前のパームオイルで赤い色がそのまま残っています。不飽和酸が多く残り、豊富なカロチンを含んでいます。石けんに使用すると黄色〜オレンジ色の綺麗な色が付きます。お料理に使用しても香ばしく美味しいです。
●パームカーネルオイル
油ヤシの種から取れるオイル。ココナツオイルと良く似た成分で、石けんに固さと洗浄力を持たせると共に、簡単に素早く泡立つようになります。
●ココナツオイル
泡立ちには欠かせないオイルです。一部でその刺激性が指摘され、成分の良く似ているパームカーネルオイルで代用される事も増えています。
●シアバター
アフリカで取れるシアバターは、大変豊富な不けん化物を含みます。保湿力と肌への効果がとても高く現地のスキンケアには万能薬として使われて来たそうです。

参考:"THE SOAPMAKER'S COMPANION" SUSAN MILLER CAVITCH著, "オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る" 前田京子著, wikipedia

おまけ

水は薬局にコンタクト用などで売られている精製水を使いますが、紅茶やハーブティーで代用するなどして楽しむ事が出来ます。香りとしてはそこまで残らないのですが、色や成分を加える事が出来ます。その場合は濃いめに入れたものを冷まして使用してください。

また、ハーブや米ぬかなどをスクラブとして入れる事も出来ます。
その場合は型入れの時に適量を加えて下さい。